谷中庵読書録

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2009-04-23

「好もしい」と「好ましい」の違い

Dscn0271 長崎県・壱岐島(いきのしま)=写真=へ仕事で行ってきた、という話を書きましたよね。(13日付)

 その話を(仕事で)書いた文章が本日午後、人目に触れる段階を迎えた。ところが、最後の「原稿チェック係」みたいな部署から「1文字だけ直させてほしいんですが」と言ってきた。それが「好しい」を「好しい」に、という注文。

 ワシが書いたのは、<言葉も笑顔も“営業用”ではなく自然体なのが好しい>。例のバスガイドさん(27歳♀)が、唯一の乗客であるワシに見せた気さくな応対を大いに褒めたわけだ。

 「今の読者に『好しい』は少し違和感がありそう。同じ意味なら『好しい』という方が普通じゃないでしょうか」

 分かっとらんなあ、と思ったが、一般読者に違和感を持たれるよりは持たれない方がいい。「好しい」と「好しい」の違いを相手に講義している時間もないので「任せるよ」と答え、結局「も」は「ま」になった。

 今どきの国語辞書で、両者の違いに触れたものは少ない。広辞苑でさえ、「好ましい」についてはいろいろ説明しているが「好もしい」を引くと「好ましいと同じ意味」で済ませている。辞書というものは、そんなことでいいのか!

 そこで例によって、新明解国語辞典(第五版)に登場してもらいましょう(実は「好ましい」ではなく「好もしい」を選んだのは、新解さんで違いを確かめたうえでのことだった)。

 【好ましい】(形) そのような状態(存在)を喜んで受け入れることが出来る様子だ。「―結果/好ましくない人物」 ―さ  ―げ
 【好もしい】(形)〔相手の何かが〕自分に対して好感を与える様子だ。 ―さ ―げ ―がる 

 う~む、深い! 違いは微妙だが、あのガイドさんの態度は「好ましい」ではなく「好もしい」ものだった。この場合は、やはり「好もしい」が好ましいのだ。 最後の「原稿チェック係」みたいな部署(早い話が校閲部だ)の若いモンに、時間がないとはいえ説教すべきだったかな(反省)。

 新解さんのスゴサは、実は太字部分にこそ表れている。「好もしがる」とは言うが「好ましがる」とは言わないのだ。な、なんという精緻で奥深い指摘でしょう!

 「違和感を持たれる」「ピンと来ない人が多い」という理由で、正しい言葉がどんどん駆逐され日本語全体が、やせ細ってきています。いよいよ寂しい時代になってきましたね、新解さん。

コメント

初めまして、今回は「好もしい」を検索してやって来ました。
たまに見かける「好もしい」と言う言葉、最初は誤字なのかと思っていました(苦笑

正直な所、この記事を読んでも理解出来たとは言えません。
でもだからこそ、日本語の奥深さを実感させられた気がします。
知らない言葉や使い方が出てきたら、誤字なのでは?と思う前に調べる癖をつけたいものです。

校閲には経験豊富な人をおくのがセオリーだとは思いますが、ここでの問題は、今の若いモン云々ではなく最後の砦である校閲を軽んじている出版社の質であるように思います。

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